難聴について

 「PA屋には難聴の人が多い」
よく聞く言葉ですが、私は実際に現場で難聴と思われる人に会ったことは無い。しかし、あるコンサートを聴きに行った時に、このコンサートのオペレーターはおそらく難聴だろうと思う事があった。

 難聴には年を取るごとに高音域から聞き取り難くなる(老人性難聴)と慢性的に大音量を聞き続けると悪化する(騒音性難聴)があるが、この騒音性難聴になるとまず4k辺りから聞き取り難くなる。聴きに行ったコンサートがこれに当てはまっていた、4k辺りが凄く「痛い」のだ。ただ、客層が年長者が多かったから4kをブーストしていたのかもしれないが、そう考えても異常だった。あまりの痛さに一曲目からすでに耳にティッシュを詰めて簡易耳栓をするに至った。

 通常生活では難聴になったとしても、問題はあるだろうが、深刻と言うほどでないのかもしれないが、音響家としてはかなり深刻な問題になる。間違った感覚で音のバランス取ると上記のように観客、アーティストを傷付ける事になる、これは音響家として致命的である。さらに困った事に、「難聴は治らない」のだ。視力はコンタクトや眼鏡、手術で矯正することが出来るだろう。しかし、難聴は例外を除き「治ることは無いし、補聴器では満足な矯正も出来ない」

 難聴者に音響・PA をする資格は無いとは思わないが、老人性難聴や事故でないかぎり、難聴は「自己責任」である。「仕事のせい」という言い訳は音響家には通用しない、難聴になる職場を選んだのは自分である。難聴にならないように気を付け、もしなってしまっても自覚し、他人に意見を貰い感覚を修正して行くのが、観客やアーティストに対する責任である、でないと彼らが難聴になる。
 私の周りに難聴者がいないのも、難聴の危険を感じ、会社を辞め、自ら会社を立ち上げた人、難聴のプランナーとは特に密に意見を交わす人、定期的に耳鼻科に通う人など、音響家として難聴に高い意識を持って仕事をしている人ばかりだからだと思う。ちなみに私も定期的に耳鼻科へ通っており、検査で両耳の各周波数最高値?である3をキープはしている。(各周波数-2~3までの値があり、1以上が正常)

 この難聴の問題だが、私の記憶では国家検定である舞台機構調整技能士検定の3級2級の問題に無かった気がする。事故を防ぐための専門技師を選定する検定で、耳の事故である難聴を疎かにするのは問題では無かろうか?とは言っても検定問題を見たのも2年前なので(試験は受けていない)、私が見落としただけだと思うが。難聴だけでは無く、あらゆる事故を防ぐのがスタッフとしての最優先事項だと私は思う。

※騒音性難聴になる目安として毎日約90dB(カラオケ)を1時間と言われている、それ以下の音量でも長時間聞き続ける事で危険度は高まり、周波数によっても変わる。また電車の中、交通量の多い交差点は80dBと言われている、そこらで音楽を聴く事は時間的にも音量的にもかなり危険度が高い自殺行為である。

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